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―数週間前・闇ノ国・アルト城―
――はめられた。
彼、レオ・ゼウスタは現在そう感じていた。
背後にいる、仲間達は膝をついていて噎(む)せる音や、床に平伏して呻く音が漏れていた。最早、戦える状態とは言えやしないだろう。
何が起こったか、正直レオ自身にもわからなかった。
ただ信じていた人物に、裏切られてしまった事ぐらいしか分からなかった。
「ほう……これだけのチカラを受けても立てるとは、君の悪魔のチカラのお蔭だったりするのかな?」
前方にいる人物――ラサ・ヘルメス。
彼の赤紫色の長髪が、異様な雰囲気を引き立たせていて却(かえ)って不気味に見える。
チカラとは、俗に言う魔力みたいなものである。
レオはラサを睨みつけ、言葉を返す。まるで何かを当てられたかのような態度で声を上げる。
「なんで、てめぇが知ってる!!」
その言葉にラサは笑顔で頷くと、茶色の瞳でレオを睨む。
表情とは裏腹だ。
目は口ほどに物を言う。
「何故って言われてもねぇ、有名じゃないのかな?マイナーな家系だけどね君の場合は」
そう言いラサが、せせら笑っていると、城の高い天井が軋み派手な音を立てて崩れ落ちた。
レオは咄嗟に屈むと自分の後方にかけて、大きな青色の膜のような物を造る。
間一髪落ちてきた瓦礫を膜が弾き、直撃を逃れた。
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