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瓦礫は物凄い音を立てて床に、散らばるように落ちると同時に、大量の煙が発生して一時的に前方の視界はゼロになってしまう。
レオはその事態に気を配りながら、後方を見る――仲間の状態は一目見ただけで十分。
「(このままじゃ、危ないな)」
レオはそう思い口元を歪める、そうしている間に前方の煙は空中に散佚(さんいつ)していき、視界がはっきりとしていく――――その煙の中から、ラサとは違う男性の声がレオの耳に届いて来る。
「はろ~、早々の困り具合なんじゃないかなレオ?」
男性は背後にいるレオを見るそぶりは見せずに、前方にいるラサを見据える。
レオは軽く息を吐き、男性に返答をする。
「そうだな、師匠(せんせい)が突破口を開くのが遅れたせいだからかな?」
かなりの皮肉を言葉に込めて、言うと男性からの軽い笑い声が聴こえてくる。
「ごめん、ごめんだってあまりにも君が―――」
そう言うと男性は笑うのを止めて、それと同時に言葉を発するのを止めた。
―――…。
やがて、煙は晴れていき男性が黄色の光のような物を纏(まと)っている事にレオは気付いた。
――戦闘体制なのは分かっている
そして男性は言いかけていた言葉をまた、紡ぎだす。
「君があまりにも、弱いからね」
レオと同様にたっぷりの皮肉を込めた言い方で、男性は返すと右手を開いた。
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