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10年後、波多野は大財閥の長となっていた。
沢山の人を二子の両親のように蹴散らして。
そのせいか波多野は異様にゲンを担ぐ男になっていた。
よくご利益のあるという神社へでむいていた。
清田はそこへ目をつけた。
「そこを狙うしかありゃあせん、ワシと三瀬が若い衆の注意をひくんでそのうちにお嬢は波多野を。」
二子は、
「わかった。」
とどこをも見ない空虚な瞳で一言答えた。
三瀬、彼はこの10年の間に清田が捨て子を拾い絶対の忠誠を誓わせ育てた二子の犬同然の男である。
二子は彼に特別な感情を抱いていた。
犬めと卑下しながらもこんな危険なことをさせたくないとも思った。
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