雪山

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愛した人も逃げ去った、 彼を取り巻く人も彼を忌避した。 彼の中は空っぽで存在する意味などなく生ける屍という他なかった。 彼は雪山に住み旅商の世話をしている叔父の山小屋へ引き取られ日がな一日暖炉の火を見つめるだけだった。 …ごとん。 大きな薪が燃え尽きた。 今日も一日誰にも会わなかった。 叔父は旅商の道案内で家を空けて三日になる。 缶詰めを食べよう。 そろそろと車椅子を進めた。
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