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 第3Q開始時、スローインは王富高校から。  対してディフェンスの兼城高校は、前半と同じくマンツーマン。  少し身長による不安も残るが、そこはカバーするなどして埋めていくしかない。 「一本、確実に!」  そういうのは王富のPG、田中。  おそらくはもうチームプレーに固執はしないはず。  とはいえ、PGだけはさすがに他のどこのポジションよりパスを警戒しなくてはならない。  光はあらかじめパスコースを封じてもらうようにハーフタイムの時に言っていたため、田中がパスをするところはない。  そうなれば、選択肢は2つ。  ミドル、それかそれ以上の3Pシュートを撃つか、ディフェンスの中を割ったドライブ。  光がプレッシャーを与えていると、田中はゴールを見た。しかも、フェイントには見えない。  光はすぐさまそれに反応し、田中が跳んだ瞬間手を斜め前に出した。 「なっ?!」  田中の驚く声が聞こえた。だが、光はもうハーフコートの中に入って、ゴールに向かって走っているため、聞こえることはない。  ただ、光はゴールに向かって走っていたが、ボールを持っていなかった。 「決めろよ!」  光が叩いたボールは、相手の手に渡る前に、翼が掴んでいた。  それを反対側にいる光に向けてぶん投げる。  それを難なく取り、光は普通にシュートを決めた。 「外すわけ、無くない?」 「いや、万が一があったね」  ディフェンスに戻る途中、二人が話しているのが聞こえた太陽たちは、3人顔を合わせて苦笑いしていた。  
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