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ケイオスの仕事は
依頼を受けたあらゆる事
いわゆる何でも屋
もしくは便利屋
しかして悪鬼羅刹の道でなく
怠惰と無気力の道を
選んだケイオスが
悪どい仕事を受けるわけなく。
日銭を稼ぎその日暮らしに
明ける毎日を過ごしていた。
薫風の5月
風がまだ湿らぬ季節
貧民街に現れた異質が一つ
黒塗りの巨大な馬車。
御者を二名つけた
最高級のそれはボロを着て
残飯を漁る事も
珍しくない貧民街の中では
酷く浮き上がる。
『弟、兄ケイオスの名を呼ぶ』
現れたのはケイオスの弟リシリト
兄が漆黒の髪を腰まで伸ばした
背の高い男なのに対し
男リシリトは頭二つは背が低く
細身で華奢な印象を受けた。
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