俺の彼女

4/9

139人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
美季が勤務に入る少し前に、俺はクランケのカルテに紛れ込ませるように自分のカルテを忍ばせた。 夜勤のナースは美季を含めて数人いるが、この日を狙ったのには訳がある。 それは、美季の親友の大澤さんが居るからだ…… 彼女には古川さんと言う親友も居る…… 同期の3人は学生時代から仲が良く、俺たちの交際も知っている。 深夜になり俺は仮眠室で体を休めていたときだった。 ドスンと言う物音と同時に少し大きな揺れを感じた。 「地震だな……」 俺が最初に浮かんだのはクランケの安否よりも、美季の事だった。 地震が嫌いで怖がりな美季が気になり俺は慌ててナースステーションに駆け込んだ。 「美季大丈夫か?」 声をかけた時に見た光景は俺のカルテを手にして青ざめて呆然と立ち尽くしてる美季の姿だった。 自分で仕掛けた事とは言え、ショックを受けてる美季の姿は俺も苦しかった。 とっさに誤魔化す為に俺は美季からカルテを取り上げた。 「見るな」 「泉……」 「ごめん過剰に反応し過ぎた」 「泉、どこか悪いの?」 「俺は健康だよ」 「でも、このカルテ…… 剣持先生の筆跡でしょ?」 俺は美季の言葉詰まり、今までの気持ちを抑えきれずに美季の唇を奪い激しいKissをした。 一瞬、美季は驚いていたが、彼女はすぐに俺のKissに応えて返してきた。 「泉…… どうして?」 「口止め料だよ」 「泉……」 「訂正するよ僕は本当に愛してる人にしかこんな事はしないよ」 「泉……」 「僕が信用出来ない?」 「それは……」 「これでも?」 俺は再び美季の唇を塞ぎKissをした。 病の辛さを紛らわすのと、美季を愛してる事を伝えたくて…… 「余震があるかも知れないから気をつけて」 俺は美季に一言、声をかけてナースステーションを後にした。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

139人が本棚に入れています
本棚に追加