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-五月雨-
アスファルトにこびりついた
悲しみが錆臭い雨で
剥がれて消えてく
枯れた自問自答に囚われた奴隷のワルツじゃ
踊れないよ
纏わりついた後悔と
吐いて捨てた嘘の跡で
サイレンが鳴り響いて
快楽に濡れた雨の音が
流れて消えてく
そんな自分自身も見失いそうな旋律じゃ
歌えないよ
絡みついた罰の棘が
ザラついた舌先で溶ける
色のない鳥籠の中だから見えた
鮮やかな世界の影
凍えそうだよ
心が
犯した罪の亡骸を
冷たい海に沈めないで
揺れる陽炎
舞う事のない羽を抱いてずっと...
溺れかけた禁断さえ忘れられて
交う影もない
弱く揺られ途切れそうな
願いをそっと殺めて
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