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夕日が威力をなくしていくのはあっという間で、空は紫から藍色に染まりつつ、
開け放たれた窓からは少しひんやりとする風が吹き込み始める
「…」
「…川野?」
すっかりうす暗くなってもうお互いの顔もわからなくなった頃、微かに啜る嗚咽に
瞬が優奈に目をやると、わずかに残った夕日に反射して目元がきらりと光った
「…川野、泣いてんの?」
「…」
何も答えずぼーっと前だけを見ている優奈は、
いつも天然炸裂で、教室で他の女子たちとキャーキャー騒いでる姿と違いすぎて
なんだか見ていられなくなった瞬は視線を前方に戻し、
ボソリと呟いた
「…俺、フラれた」
そんな瞬の告白にびっくりして今度は優奈が顔を向ける
膝を抱き、体育座りで小さく丸まって、ボーっと前を見ている瞬の姿は、
優奈のもっていた、いつもクラスのムードメーカーで明るく元気なイメージとはかけ離れていて
「…あたしも」
本来打ち明けるはずのなかった事実をぼそりと呟いてみれば
驚いて優奈を見る瞬と目が合った
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