1 フラれた二人はライバル、同志

4/7
前へ
/7ページ
次へ
「へぇ、そりゃまた、奇遇だねぇ」 「…そうだねぇ」 …ハハハハ 自然に笑いがこぼれてくる 恋愛ってのは喜怒哀楽の激しさの真骨頂 この笑いは、喜というより情けなさと慰めの笑いなんだけど それでも、笑うと、 沈んでた心は少しだけ軽くなっていく 「誰に?…俺、…古賀」 「…亜紀かぁ」 優奈は頬を伝っていた涙をぬぐいながら、瞬がフラれたという相手を思い浮かべ、クスっと笑う 「何笑ってんだよ」 「別にー…」 首をふるふる横に振りながら、なぜか噴き出しそうな笑いをこらえている優奈 「ってお前は?」 「…え?あたし?…楠本くん」 ちょっとイラつきながら、瞬がそう問い返せば、表情を戻した優奈から帰ってきた相手の名前に 今度は瞬がブっと噴き出す 「ちょっと!なんなのよ!」 顔を真っ赤にして瞬を睨みつける優奈に、瞬は「だってさぁー」と笑いをこらえながら目に別の涙をにじませる 見合わせた二人は、まるでにらめっこでもしているかのように、 互いに笑いをこらえながら、 でもついに耐えきれずに、 おなかをかかえて笑い転げた
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加