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「へぇ、そりゃまた、奇遇だねぇ」
「…そうだねぇ」
…ハハハハ
自然に笑いがこぼれてくる
恋愛ってのは喜怒哀楽の激しさの真骨頂
この笑いは、喜というより情けなさと慰めの笑いなんだけど
それでも、笑うと、
沈んでた心は少しだけ軽くなっていく
「誰に?…俺、…古賀」
「…亜紀かぁ」
優奈は頬を伝っていた涙をぬぐいながら、瞬がフラれたという相手を思い浮かべ、クスっと笑う
「何笑ってんだよ」
「別にー…」
首をふるふる横に振りながら、なぜか噴き出しそうな笑いをこらえている優奈
「ってお前は?」
「…え?あたし?…楠本くん」
ちょっとイラつきながら、瞬がそう問い返せば、表情を戻した優奈から帰ってきた相手の名前に
今度は瞬がブっと噴き出す
「ちょっと!なんなのよ!」
顔を真っ赤にして瞬を睨みつける優奈に、瞬は「だってさぁー」と笑いをこらえながら目に別の涙をにじませる
見合わせた二人は、まるでにらめっこでもしているかのように、
互いに笑いをこらえながら、
でもついに耐えきれずに、
おなかをかかえて笑い転げた
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