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キュッ、キュッとシューズが床を擦る音が、小気味好く響く。
まるで意志を持った生き物のように、ボールは次から次へと人の手に回る。
素早い動きで立ち塞がる相手を抜くと、ゴール目掛けてボールを放る。
バックボードに当たり、ザッと音をたてネットに入った。
と、同時にホイッスルの長い音がし
「休憩ー!」
と言う合図と共に、数人の男子が散り散りになる。
汗を拭いたり、水分補給したりと思い思いに休んでいる。
そんな彼らの姿を、開け放たれたドアから見ている女子学生。
「はぁ、はぁ……ルーシィ見た?小山先輩の華麗なパス回しを。それに中谷先輩の力強いシュート!あぁ、ボールになりたいっ」
双眼鏡を片手に、ブツブツと言っている。
そんな怪しい女子学生の声は聞こえていないが、存在には気付いてる彼ら。
「……部長、また居ますよ」
「……。はぁ~」
部長と呼ばれた男子は深いため息をついた。
どうやら彼女はため息をつくほど、厄介なものらしい。
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