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2005年9月5日
朝鮮半島某所
――――「アイツか?…あぁ、知ってる。話せば長い。…そう、古い話だ。…知ってるか?エースってのは、三つに分けられる、プライドに生きる奴、強さを求める奴、戦況を読める奴。この三つだ。奴は…確かにエースだった…」
彼は、『片羽の妖精』と呼ばれた男。
私の追う、ある男の元同僚。
畏怖と敬意の狭間で生きた一人の傭兵。
私は『彼』を、追っている。
10年前、世界を巻き込んだ戦争があった。
第三次世界大戦、通称『中華戦争』。
共産主義の限界で、経済恐慌に見舞われた中国は、全世界に宣戦布告。
周辺諸国に攻め込んだ。
準備不足のアメリカ、日本、ロシアを中心とした連合国軍は練度、士気の高い人民解放空軍の前に連戦連敗。
開戦後半年で、日本は山間部を除く国土の80%を失った。
事態を重く見た日本政府は、外国人傭兵部隊を設立、アメリカとの合同作戦に望みを賭けた。
『片羽』の言葉で物語の幕は上がる。
「…あれは、雪の降る寒い日だった…」
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