第一章 凍空の猟犬

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[知床空軍基地上空 4月2日 13時00分] 2機のF-15Jイーグルが爆音を轟かせて飛んでいた。 一機は両翼の端をグレーに、もう一機は、右翼を赤くペイントしていた。 2機とも、主翼と胴体に日の丸が描かれていた。 垂直尾翼には、部隊証の鎖につながれた赤い猟犬ガルムがペイントしてある。 <降ってきたな> 「あぁ」 右翼の赤いイーグルに乗ったピクシー、本名ラリー・フォルクが翼端の黒いイーグルのパイロットサイファー、本名クリス・イワサキに話し掛けた。 <こちら、基地司令部。全機上がったようだな。ガルム1、ガルム2。現在の方位を維持せよ> 「ガルム1、了解」 <ガルム2、了解した> <こちら、早期警戒機ホークアイ。方位315から中国軍の爆撃機接近> <雪山でベイルアウトは悲惨だ。頼むぜ、一番機> 「そう簡単に墜ちるか。お前こそ、また片羽持ってかれるなよ」 <言うじゃねぇか> <私語は謹め。各機、迎撃体制をとれ> <報酬はきっちり用意しとけ> <互いが無事であればだ> <お財布握りしめて待ってろよ> 「行くぜ、相棒!」 <了解!> <ガルム隊へ、敵爆撃機を全機撃墜せよ。基地には到達させるなよ。ガルム2、お前はガルム1の指示に従え。作戦中の勝手な行動は禁ずる> <了解。指示を頼むぜサイファー、あんたがガルム1だ> 「了解。散開して敵機を迎撃。特殊兵装の使用を許可する」 <こちら、ホークアイ。敵機エンゲージに備えろ。後4マイル> <サイファー、噂は聞いてるぜ。高いプライドは命取りになるぞ> 「武士道に習って戦っているんだよ」
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