何万回目かの、はじまり

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「ユイコちゃんっていうのかぁ。 じゃあさ、ユイちゃんって呼んでいい?」 あ゛ーーー、うざい。 つか、デジャヴュ? あたしはこのシチュエーションを何万回繰り返せば、カンペキなゴールにたどり着けるんだろう。 「うん❤じゃあ、あたしはなんて呼べばいいの~?」 内心のダルさを相手のオトコに悟られるほど 合コンシロウトじゃないあたし。 オトコの瞳を少しだけ見上げるようにして、 にっこり微笑んでみせる。 「ユイちゃんって血液型何型?  あ、待って、当ててみるからさ」 げ。 いまどき血液型から入るか。 あたしが気になるのは、 アンタの年収、 持ち家の有無、 借金の有無、 バツの有無、 バツありなら養育費支払い義務のあるコドモの有無、 老後の面倒をみる親の有無、 なんだよね。 「んーー、読めないなぁ。 B型かなぁ、 エキセントリックな感じするしさ」 「ざんねーーん!  マジメで堅実なA型なのダ」 「おーーー!  家計簿とかきっちりつける、 良妻賢母なA型っすな!」 な訳ないじゃん。 毎月カード使いすぎて、月末の請求書見て青くなんのにさ。 ご利用は計画的にって、それができたら苦労しないっつの。
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