結婚式

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後ろから聞こえてくるゆっくりとした足音、それを俺は黙って待ち受ける 一歩一歩近付いてくる幸福の足音 お父さん「じゃあ、陣君。娘を…よろしく頼むね」 お父さんは繋いでいた彼女の手を俺に渡す 陣「…はい」 彼女は、俺の隣へと歩を進め ???「…よろしく、お願いします」 陣「…こちらこそ」 神父「では、はじめます」 陣「………」 神父「汝、陣は、真心からこの――を、妻とすることを誓いますか?」 陣「誓います」 神父「汝、――は、真心からこの陣を、夫とすることを誓いますか?」 ???「誓います」 神父「あなた達は、この結婚が、神の御旨(みむね)によることを信じますか?」 陣「…それは確信できないな」 ???「え?ちょっと、陣くん…?」 陣「だってこれは、神様なんかじゃなくて、俺とコイツで決めた結婚だぜ?」 ???「……っ」 誰に決められたワケじゃない 誰に遮(さえぎ)られるワケでもない この結婚は、俺達が決めたもの 神父「汝、陣は、神の教えに従い、健やかなる時も病める時も妻を愛し、逆境にも負けず、共に歩むことを誓いますか?」 陣「誓います」 神父「汝、――は、神の教えに従い、健やかなる時も病める時も夫を愛し、逆境にも負けず、共に歩むことを誓いますか?」 ???「神と証人の前に、謹んで誓約いたします」 神父「それでは、指輪の交換を」 その言葉に従い、俺達は指輪を交換する 神父「それでは――」 谷口「キスしろー!陣」 アハハハ! 周りから笑いが沸き上がる ???「あはは…谷口くん変わってないなぁ」 陣「アイツは変わることなんかないさ」 ???「それにしても…みんなが見てる前でって…恥ずかしいね」 陣「今更何言ってんだ」 ???「意地悪だよ」 陣「いい加減覚悟を決めろって」 ???「ま、まだ心の準備が…」 谷口「はやくチューしろ!」 陣「ほら、谷口もああ言ってるし」 ???「そんなことを言われても………あ」 強引に彼女の身体を引き寄せ、キスをする 唇に生暖かい感触が触わった 谷口「貸せっ!よしご結婚…」 全員「おめでとうございまーす!!」 青天の空に、みんなの声が響き渡る 仲間達の 家族達の 学校の生徒の 祝福の声が、響き渡る
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