16人が本棚に入れています
本棚に追加
/175ページ
「ごめん・・・迷ったみたい」
パーティ会場である目的のホテルに、俺は辿りつくどころか、どうやら全く別の場所へとやってきてしまったらしい。
電話越しの相手が、怒りと呆れを含めた叱責を送る。
兎に角、急いで当初のホテルへと戻らなくては。
どうりで見慣れなさすぎる年齢層の高い顔ぶれに、雰囲気だと思った。
だが、出ようとした矢先に会場の扉という扉が閉められた。
どうやら【宴】の始まりのようだ。
「すみません。出たいんですけれど」
「・・・」
少しだけでもと声を掛ければ、ギラリとやけに厳つい強面の男が無言で見下ろす。
終わるまでは開けない意思表示をされては仕方ない。
なるべく邪魔にならないように壁の隅へと荷物と共に移る。
それにしても、ここは一体何の会場なのだろう?
最初のコメントを投稿しよう!