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俺の手を引っ張りながら、凛は坂道をズンズンと歩いて行く。
「凛!」
俺が呼びかけても凛は止まらない。
「ちょっと、凛ってば!」
そんな凛に痺れを切らせ、俺は繋いでいた手を、自分の方へと引っ張った。
「きゃっ!」
急に引っ張られ、凛は俺の腕の中にすっぽりと収まった。
「ちょっと急に何するのよ!」
「それは俺のセリフですー。何でバスじゃなくて歩くの?てかどこ行くつもりだったの?」
「バスなんて嫌よ。私は早く和人と2人きりになりたかったのに。和人は違うの?」
「…なりたかったけど……それならそうと言ってよね」
繋いでいた手を握り直し、俺は凛の一歩前を歩くように坂を下った。
「ねぇ、これからどこ行く?」
「ひよこ公園」
「凛好きだね。ひよこ公園」
クスクスと繋いでいない左手を口にあてて、俺は笑った。
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