こなくていいのに

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そのティッシュを摘むように持つと、少し湿っていた。 不愉快。気持ちが悪い。 それを持って、黒板の近くにおいてあるゴミ箱に向かう。 途中で、何かに足を引っかけ、見事に前から床に叩きつけられてしまった。 「ダサッ」 見上げると、突き出した足をパッパッとはらう、茶髪のツインテールの女子と、あたしを見下すようにして笑う黒髪ショートカットの女子。 ツインテールの方が、あたしの足をわざと引っかけて転ばせたらしい。 睨みつけるようにして見上げると、心底嫌そうに眉間にしわを寄せて、あたしの方に紙屑やら何やらを投げつけてきて。 「こっち見んなブス」 「気色悪いんだよ」 お前らのド下手な化粧ほどこした顔の方がよっぽど気色悪いよ。 そんなことを言えば、さらに被害を受けるだけなので、あたしは何も言わず立ち上がって、今度こそゴミ箱にティッシュを捨て、自席に戻り、手で小さくはらってから座った。 同時に、授業開始のチャイムが鳴り、担任の教師が入ってきて、今日という一日がスタートする。 …これが、あたしの日課。 これは、普通の高校生の生活なのかな。
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