旅立ちのとき

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「無理に… 止めなくていいよ。 人間は限界まで堕ちないと 本当の意味で立ち直ることは難しいから―― 堕ちたら 手を引っ張るからさ。」 彼は私の頭に軽く クシャッ と触れた。 私は そのまま 静かに 泣き続けた。 もう、嗚咽はしない。 最後の涙にしよう、と自然に思えた。 夕陽が眩しかった……
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