プロローグ

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暖かな…もう暑くすら感じてしまうような日差しが、廊下の窓から射し込んで来ています。 季節は春。私はまだ新しめの制服に袖を通し、一人歩いています。 昼休みである今、校舎は学園の生徒達の話し声や笑い声であふれ、私は慣れきっていないこの学園で、一人で歩いていることが若干恥ずかしいような、気まずいような感じがましたが、その感情をただの自意識過剰だと我ながら非常に不自然に割り切り、先を急ぎます。 入学式からさほど日にちは経っておらず、私はまだうろ覚えである校舎のある場所を目指し、ある人の言葉を反芻しながら歩き続け、曲がり角へと差し掛かりました。 「えっと…」 廊下を右に曲がると階段に差し掛かり、私は迷うこと無くそれを上がります。 ここまではお話通りです。もう少しで目的地。
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