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秘密の場所へ向かう途中、プレゼントが壊れてないか何度も確かめた。
…よし、ちゃんと音 鳴るな。
茜に渡すプレゼント。
それは花やリボン、そして淡いピンク色の木苺で飾られた、小さなオルゴールだった。
彼女は小さい頃、一時クラシックにはまっていた。
その時 茜が何度も何度も聴いていた曲…メヌエットが入っている。
俺もこの曲は好きだ。
落ち着くような、それでいて明るくなるようなメロディー。
茜にぴったりの曲だ。
…彼女はこれを見て喜んでくれるだろうか。
俺が初めて渡すプレゼントを見て、喜んでくれるだろうか。
…きっと、喜んでくれるよな。
きっと、これを見てたんぽぽのようにかわいらしい笑顔を見せてくれるだろう。
そう思うと、微笑ましくなる。
……早く、早く彼女に会いたい。
そして、彼女に…、茜に、伝えたい。
15年前と変わらないこの気持ちを。
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