無色

Ⅰ

―――――――――――――――――――――ﾋﾟﾘﾋﾟﾘ――ﾋﾟﾘﾋﾟﾘ―‥

夕方

まだどっぷり夢の中にいるあたしを呼び戻す機械音

着メロすら初期設定のままの携帯が静まりかえったベッドルームにて着信を告げる。

「も…もし…」

『セイー起きる時間だぞー。今日の客の予定はー？』

モーニングコールの相手はあたしの担当である木崎マネージャー。
つまり出勤確認。

あたしは携帯を片手に枕に顔を埋め、まだ働かない頭を必死に覚醒させる。

「んー…。…ああ…横ﾃｨ来る……。あと…誰だっけ、河田さんのとこ。同伴は無し」

『了解、じゃあ8時出勤で宜しくー。』

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