一章~始まり~

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十二月、冬。 クリスマスが近い事もあって、いつもは地味で 協調性がない町にも サンタのモケーや、クリスマスツリーが飾られ 何もかもが白に多い尽くされていた、この時期に 唯一、赤や緑といった『色』の付く時期へとなった。 そんな『色の付いた町』を 真っ白なマスクを付け、猫背気味で、咳き込みながら歩く俺 町が色めいたせいもあり、かなり浮いてる気がする…が 気にしたら負けなので気にしないどく… 今の時刻は19時。 俺は何時もの様に、委員会の仕事を終わらせ 何時もの様に家へ向かって帰っていた。 何時もの事… 唯一、違う事と言ったら… 普段は滅多に引かない風邪を引いてしまっている事と 日が落ちるのが早いという事だけだ。 冬は日が落ちるのが早い。 辺りはもう暗く、空を見上げれば 星がキラキラと輝きの色を覗かせていた。 「明日は…天気だな…」 ボソッと出た声がマスク越しに伝わり唇を擽る… その感触を不快に思い マスクを剥ぎ取ろうとゴムに手を掛けたが 取ろうとするどに、ニットの帽子が邪魔して上手く取れない。 ―仕方ない。帽子も取ろう。 風邪を引いてるせいもあって、機械的な言葉が過る 言葉のままにニット帽子を取り、それと同時にマスクも取る。 その瞬間、蒸していた口と鼻、頭に 新鮮で冷たい風が、汗だくになっていた部分を冷やす それが気持ちいくて俺は思わず目を細めた。 そしてもう一押し、風が来たー…
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