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毎度ながら丘を登るのはキツイ。
俺の額からは歩いたせいなのか、熱のせいなのか…
どちらか分からない汗が体から流れる。
そして、そんな俺に追い討ちを掛けるかの様に
目の前には長い階段…
「(のぼりたくねーーーー!!)」
心からそう思う。そう思うが!
ここを上らなくてはバス停に着けない…登るっきゃないのだ。
俺は辛い体にムチを打ちながら一段一段を
手すりに掴まりながら登る…
「(こんなにも…
階段を登るのが…億劫だとは思ったのは…生まれて始めてだ…)」
途切れ途切れに流れる思考。
『後もう少し、後もう少しで目的地に着く』そう、自分を励ます様に言い聞かせ
残り少ない段を、膝に手を着き踏ん張りながら何とか上りきった。
「つ…ついた~…ゲホっ!…うぅ…」
ついた瞬間、安堵したせいもあり体がよろけ、一気に具合が悪くなる。
「ごほ…ゴホっ!!…」
咳き込み、暫く膝に手を着いたままの体制で俯いていると
不意に、冷たい風が右頬を撫ぜてきた
その風からは医薬品っぽい匂いが混ざっていた為、俺は反射的に
風の方向へと首を動かせる。
「びょ…びょういん?」
そこには無数のライトに照らされた、大きくもなく小さくもない
何処か他の病院とは違う独特な雰囲気をかもし出した
木製式の病院が建っていた…
俺はその病院を凝視し、そこで
頭の片隅にある記憶がフラッシュの様に過ぎる。
「(あ…そう言えば母さん
丘の上に病院があるって言ってたっけかな…)」
確か名前は『丘の上病院』だったけかな?
ぷ、まんまじゃねーか…
「おっかしーの…」
つい、そのまんまの名前に笑ってしまう。
そうすると、だるさが嘘の様にフッと消えたきがした。
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