彫刻家

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彫刻家

僕の瞳に隠した氷の刃は 隠しきれない程に大きくなった けれど剥き出しになったその刃は 何も斬れない見せかけの玩具 木偶は埃の中で 貴女のナイフで造られるこの躯 何かでぼやける僕の視界に いつも映る貴女の鋭い瞳は どうか幻影でありますように 「特に意味はない」と教えてくれた 貴女の笑顔は嫌いなんだ 欲しい物は特にないけれど そのナイフを 僕で研ぐ事はやめないで 木偶は誇りの中で 貴女のナイフが愛しい程に 全てを憎んでる僕の瞳の 先に映る貴女の優しい笑顔は どうか本物でありますように 貴女のナイフが愛しい程に 全てが壊れた僕のココロの 形を造る貴女の笑顔は どうか幻影でありますように どうか幻影でありますように
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