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「11」
長距離通話は、
僕の命を奪っていく・・
気が遠くなる。
意識が薄らいでいく中、
僕は見た。
神なんて信じない性分だったけれど、
最後の最後で人間がすがるのは神なのだ。
眩い(まばゆい)光を放ちながら、
「それ」はやってきた。
十一面観世音菩薩
その姿があった・・
そのきらびやかな出で立ちは、
この世の美を集約したような姿だった。
彼女のお寺で見た観音像そのものの姿・・
カッ―――――――!
「うわ ―――――― !」
全身から放たれた、眩しい(まぶしい)光に包まれながら、
悪霊は、もがく間も無く、瞬く間に消えていった・・・
・・全ては終わった・・
そこで、僕の記憶も途絶えた・・・
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