二十三. 戦いの果てに・・・

3/5
前へ
/166ページ
次へ
引越しのトラックがお寺の前に止まっている。 美奈子の家族がこの町から引越しをするようだ。 母親同士が話している脇で涙をこらえながら、向かい合う二人・・ 「ミナね、  ちょっとでも長く生きられるように、  シュギョーするの・・」 「シュギョーか・・  かっこいいな・・」 「タイヘンらしいよ。  でも、帰ってきたら、  ヒロちゃんのお嫁さんになれるかな~。」 「うん。待ってるよ」 「じゃあ、行くわよミナちゃん。  ヒロちゃん、またね・・」 車に乗り込んだ彼女のお母さんが呼んでいる。 女の子が入っていくとドアがバタンと閉まる。 僕のお母さんと彼女のお母さん同士でお辞儀をしている。 見詰め合う僕と彼女・・ 引越しのトラックが走り出す。 窓から顔を出す彼女・・ 徐々にスピードを上げていく。 いつまでも手を振りながら見送る。 行ってしまった・・・ 帽子を深くかぶって涙を見せまいとする僕を 母があたたかく抱いてくれた。 母の胸の中で泣く僕に、やさしい母の声・・ 「いつか、きっと会えるよ・・」
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

816人が本棚に入れています
本棚に追加