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引越しのトラックがお寺の前に止まっている。
美奈子の家族がこの町から引越しをするようだ。
母親同士が話している脇で涙をこらえながら、向かい合う二人・・
「ミナね、
ちょっとでも長く生きられるように、
シュギョーするの・・」
「シュギョーか・・
かっこいいな・・」
「タイヘンらしいよ。
でも、帰ってきたら、
ヒロちゃんのお嫁さんになれるかな~。」
「うん。待ってるよ」
「じゃあ、行くわよミナちゃん。
ヒロちゃん、またね・・」
車に乗り込んだ彼女のお母さんが呼んでいる。
女の子が入っていくとドアがバタンと閉まる。
僕のお母さんと彼女のお母さん同士でお辞儀をしている。
見詰め合う僕と彼女・・
引越しのトラックが走り出す。
窓から顔を出す彼女・・
徐々にスピードを上げていく。
いつまでも手を振りながら見送る。
行ってしまった・・・
帽子を深くかぶって涙を見せまいとする僕を
母があたたかく抱いてくれた。
母の胸の中で泣く僕に、やさしい母の声・・
「いつか、きっと会えるよ・・」
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