二十四. それからのこと、これからのこと

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ちらっと後ろを向いた友人がささやく。 「お、かわいい彼女のお出ましだぜ~」 「悪霊は退散・・  じゃあ、また後でな・・  バハハーイ」 「あ・・待てよ!」 すたすたと足早に去っていく二人・・ 置いて行かれる僕に近づく女の子の気配・・ 「ヒロシくん、おはよう」 「おはよう・・」 振り向くと、微笑む彼女の姿があった。 メガネもポニーテールでもない・・ 素顔のままの彼女のかわいい姿。 いや、中学校の時よりも数段「美人」になっている。 実は、彼女も助かっていたのだ。 瀕死の状態だった彼女も、やはり僕と一緒に病院で意識を取り戻した。 奇跡と言ってもいいだろう。 僕は観音様を召喚するために、命を使い果たしたし、 彼女は、悪霊の攻撃を受け、致命傷に近いダメージを負った・・ そんな僕たちが助かったのも、 十一面観世音菩薩のご加護としか、考えられないのだった。 そして、今は正式にカレシ、カノジョの関係になっている。 (どっちがコクったでしょう?それは謎のままにしておこう・・) 彼女には少しばかり寿命が残っている。 いつまで生きられるかも分からない。 僕と結婚は出来ないかも知れないけれど、 子供も生めないかも知れないけれど、 この世に生きている間、精一杯生きることを僕に誓ってくれた。 僕も、 一緒に居る時間・・ 掛け替えのない彼女と過ごす時間・・・ 一日一日、一秒一秒を大切に過ごすことを決めた。 二人の間に、これからどんな事が起ころうとも、 後悔をしない様に、精一杯生きる・・ 二人で誓い合ったのだ。
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