一. プロローグ

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自分に霊感があれば、幽霊でも良いから、母に会ってみたいものだと何度も思ったことがある。 だけど、この5年間それらしき影を見たことも気配を感じたこともない。 「霊感」なんて、単なる噂話やでっち上げで皆が怖がったり楽しがったりする話題の一つなんだって思う。 昨日の放課後もクラスの女子が「キューピットさん」できゃーきゃー騒いでいた。 友人もコンビニで買ってきた怪しげな雑誌を持ってきては、心霊写真だの幽霊スポットの記事を夢中で読み漁って、 「これは、こう見える」 だの 「あそこで見た」 だのと盛り上がっている。 「霊」なんてものは、自分とは何の縁も無い世界・・ そう思っていた。 あの娘に会うまでは・・・・
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