二. 出会い

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中学生にとって、「霊」とか「心霊」とかは、好奇心をそそる対象の一つなのだろう・・ でも同じ学校に霊感のある生徒が居るなんて事は、そうそうあることではない。 「この間、放課後に教務室に居たって言う霊のお払いをしたそうだぜ」 友人の一人が、その子の噂を話し始める。 「ああ、残業時間に女の先生達が時々足音聞いたって噂があったよな・・」 相槌をうつもう一人の友人。 そうなのだ。 この学校には、七不思議とまでは行かないけれど、いくつかの噂があるのだ。 トイレの花子さんとかの都市伝説的な話も噂されていた。 戦時中に学校の敷地内に在った防空壕で多数の死者を出したとも聞いている。 老朽化の進んだコンクリートの校舎は、夜になれば恐ろしい感じになるらしい。 そんな中で、いくつか霊的な話があってもおかしくないのだろう。 教務室に「出る」という話も、先生の間では専らの噂になっていた。 先生方も気味悪がってなるべく残業は避けていたそうだが、急用で深夜まで残っていた一人の先生が足音のような奇妙な物音を聞いたのだという。 話題の「霊感少女」が、その教務室に潜む霊の御祓いをして、足音の現象がピタッと止んだという話だ。 それ以来、霊感少女は「本物だ」という噂が女子の間で囁かれていた。
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