††

2/4
前へ
/32ページ
次へ
その閑静なこぢんまりとした街に一軒だけ灯りがついた建物があった―。 看板は外れかけ貼られていた何かのポスターは雨風にさらされボロボロになり破れている。 とりあえず入ってみるとどうやら酒場らしい。 「いらっしゃい。ご注文は?」 「ジンライム」 「はい。ちょっと待ってね」 と言ってもカウンターの数席しかなく、席に着くと少しふくよかな体型の赤ら顔のマスターが陽気に注文を聞いてきた とりあえず、カクテルを一つ注文したが周りを見回してみると数えるほどしか客がいない マスター自体もその白い髭を伸ばしている所を見るとまるでサンタクロースのようだ 服はタイやベトナムでよく見かけそうな民族衣裳というのだろうか?そんな感じの薄手の服を着ている そして、なぜか頭には赤と青の捻(ねじ)り鉢巻(はちま)きをしている 「はい。どうぞ。ジンライム」 「どうも」 客も常連客ばかりなのだろう 年のいった客ばかりだった (それにしても冷えるな…) ふとカレンダーを見ると10月も半ば (どうりで寒いわけだ) そんな秋風の差し込む夜だった
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加