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そうして流れに身を任せて過ごしているうちに1人の男と知り合った 名前は龍鬼(りゅうき) 物事にこだわらず、開けっ広げな性格で男らしい奴だった ブルーのサングラスに白に青の小花柄のYシャツに白っぽい脱色したジーンズにベージュのジャケット赤のマフラーシンプルなブラウンのブーツといった出立(いでた)ちだ 最初の出会いは宿だった 私のとった宿で奴も暮らしていて煙草をきらして声をかけたのがきっかけだった 話してみると息があって 必要以上の干渉もなく もちろん男女の関係なんて微塵(みじん)もなく さっぱりした関係が心地よかった 相変わらずどれだけ親しくなっても身の上話をすることはなかった せっかくの気持ちのいいこの関係をしみったれた話で同情に変えたくはなかったからだ
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