1人が本棚に入れています
本棚に追加
三日月が高く光る。
月光が照らすクリスタルギルドの外壁に、小さな影が二つ。それは屋上を目指して登って行く。
「もうすぐよ、滅花」
先を行く影が後に続く影に言う。
「中からは行けないの?そうちゃん」
後の影も返す。
小さな影二つ―創花と滅花の双子は外壁を登っていた。
今夜は流星群が見られる。そう聞いた創花が見に行きたいと言い出したのだ。
「階段、見つからなかったのよ」
創花は排水管に手をかけながら言う。
だからってどうしてこんな危ないことを、と思わなくもないが、いつものことなので何も言わない。姉の性格は十分承知しているし、自分達にとってはさほど苦ではない。
最初のコメントを投稿しよう!