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「着いたっ…と」
壁がなくなり、視界が開ける。身体を持ち上げ見渡して…
「あ」
「おや?」
先客がいた。
「あれ?静さん」
ワンテンポ遅れて滅花も顔を出す。
図書館管理人、龍泉静。
「夜更かしですか?お二人さん」
彼は湯気の立つカップを持ちながら双子に声をかけた。
「流れ星を見に来たのよ」
双子は静に近づく。
「静さんもですか?」
「うん、まぁそんなところ」
湯沸かし器にポット。それに本…天体の本だろうか。長時間居座る気らしい。
「君達も飲みますか?」
ホットミルクです、とポットを指す。
「いただくわ。」
「ありがとうございます」
カップを受け取り、脇に座る。夜空の星はまだ動かない。
「なかなか流れないわね」
「そう簡単にはいきませんよ。待ちましょう」
3人はとりとめのない話をしながら流れ星を待つ。ふと、静が聞いた。
「流れ星にお願い事をすると叶う、って知ってますか」
ピクッ、と創花が反応する。創花の今夜の目的がそれだったから。どうしても願いたい事があるから。不安だから、星に頼みたかった。
「はい。消えるまでに言うんですよね」
滅花が答える。
「えっ、口に出して言うの!?」
創花が驚いた声を出した。
「知らなかったんですか?お姉さん」
「知らない!」
滅花がキョトンとするなか、創花は考える。
(どうしよう。滅花に聞かれちゃう。それどころか静まで…ああぁ)
創花の苦悩は知らず、静が聞く。
「…それで、お二人は何をお願いするんですか」
「ひ、秘密!!」
創花は咄嗟に叫んでしまった。姉の挙動不振を訝しみつつ、滅花も静の質問に答える。
「私も、秘密です」
静は微笑む。
「大切なお願い事のようですね」
(しょうがない。覚悟を決めるのよ創花。聞かれたって構うものですか。)
創花はひそかに決心する。滅花のお願い事も気になるが。
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