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院長殺害から3ヶ月後。
この日も雨が降っており、地には小さな水溜まりが幾つも出来ていた。
全身を白で包んだ孤児院は人の気配が無く、まるで泣いているように哀愁は漂う。
院長先生の莫大な寄付金で成り立っていた孤児院は潰れ、先生や生徒達は路頭に迷う事になってしまったのだ。
二度と開かれる事の無い黒い柵の前に、はねた金髪がぺちゃんこになるほどずぶ濡れのクルスの姿が1つ。
藍色の瞳はアイズのそれと同じ様に憂いを帯びている。
「……どうしてこうなっちゃったんだよ」
悲しみに明け暮れ、感傷に浸っていた時、脳に直接響く様な機械的な声が聞こえてきた。
『行カネェノカ?』
聞こえてきた声はどこか笑っているようだ。
それに呼応するように瞳を閉じるクルス。
「わかってるよ。覚悟はもう決めた。俺はあの恩知らずを殺す為に黒の派閥に入る。情報を手に入れる為にな」
『キヒヒヒヒヒヒ。俺ハ構ワネェガ俺ノ力ヲ……』
不気味な笑い声が脳に入り込むと、クルスは眉間に皺(しわ)を寄せながら被せた。
そしてゆっくりと瞼を開けるとそこには打って変わった様に覚悟をした瞳が2つ。
「何度も言わせんな。それもわかってる。俺はあいつを殺す。例え悪魔に魂を売ったとしてもな」
この後、親友への復讐を誓ったクルスは闇の組織、黒の派閥に入った。
情報収集、危険人物の抹殺、そして伝授十器という不思議な魔力を持つ武器の探索に没頭する彼は4年の歳月を経て、8人しかいない隊長の一人となっていた。
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