再会

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悪魔の翼を素早く羽ばたかせ速度を上げ、クルスは一直線にアイズに突っ込む 「クルス。お前が青龍を殺ったのか」 「アイズ。お前を殺してやる」 普段、感情など持っていないのではないかと思うくらいクールなクルスからは凄絶な怒りが窺える。 先程の一戦の痛みなど全く無いとしか思えない 「第二手・氣護壁」 薄い膜がアイズを覆うと、六星銃をヴィラと同様に内ポケットへ入れ、元に戻った混沌の薙刀を荒野に捨てた 距離が近まり、悪魔の爪が薄い膜に激突する ビキッビキッ。……バリンッ 次に表情に変化が見えたのはアイズだった アイズを守る薄い膜は見るも無惨に崩れさったのだ しかし、変化と言っても、それは少し目を見開くだけの微々たるもの ――成長したな。昔は氣護壁で防げたのに。それに怒りが力を増したのか。 けど、まだまだ青いな。勝負は見えたか。 突進してくるクルスを回避すると体術で応戦した 最小限の回避 隙のない連続攻撃 そして三年もの間、黒の派閥で幾人もの凶悪な犯罪者を相手に培ってきた経験値 己の能力に過信した他の能力者とは違う アイズ・ラザヴォードは体術だけでも、相当な実力者だと容易に伺える男だ しかし、そんな体術の使い手にもクルスは全く怯(ひる)まず、押しているように見える いや、押しているように見えるだけだ 今のクルスを比喩するなら、それは純粋な子供だ 作戦や駆け引きという言葉を知らず、ただ無意味に悪魔の爪を振るっているだけ しかも相手はそこらへんの雑魚とは違う 幼少時代、同じ孤児院に居た時から、全てにおいて上回っていた男には通用などしない その無惨な姿に最早蚊帳の外の第Ⅲ隊の二人、部下のルーナ、そして敵のポルトさえ哀れみの目を向けるだけだった
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