再会

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クルスの藍色の瞳に、黒がゆっくりと波のように押し寄せる 完全に黒くなると後退りたくなる何かがアイズに迫った といっても、実際に風や衝撃が吹き付けている訳では無い ただの殺気だ 元々、十分な殺気をクルスは放っているがそれが倍加したような、そんな感じだ 空気が重い それが初めて直で第三形態を見たアイズの感想だった 自然と体が前屈みになり、足に力が入り踏ん張る 意識していた訳では無い まるで、熱い物を触ったときの様に反射的に体が動く 脳が悪魔の眼に恐怖心を抱いているのだ 「行くぞ」 三文字の言葉が伸びる様な不思議な感覚が襲う 異変に気付いたアイズは自分の体が微妙に揺れている気が付く ――これが第三形態の能力か。気味が悪いな。想像以上だ。 揺れる体に渇を入れた時、クルスが走り出していた 元々、大して無かった距離が零(ゼロ)になると、悪魔の爪を右に左にと、息を吐かせぬ連撃となり襲う 不気味な感覚により満足に回避出来ないアイズは、ローブを少しづつ切り裂かれ、血を滴(したた)らせ、顔を少しピクピクと引きつらせている 最初はまるで子供に付き合う大人という感じだったか今は違う 明らかにクルスが押している そして残りの四人は各々、その光景に感想を抱きながら見据えていた
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