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「ちくしょうがぁぁ」
馬鹿の一つ覚えみたいに、むやみやたらとクルスは突っ込む
何度目だろうか?
流石にうんざりしてきたアイズは、やれやれ。という感じで左手を開き、クルスに向ける
「第十一手・氣衝風刃(きしょうふうじん)」
左手の先から風の音がすると、音と風は次第に大きくなり、クルスに向かった
クルスの金色の髪が後ろへ靡(なび)き、額が露(あらわ)になると幾つかの傷が見える
どれも真新しい傷だ
そして、また新しい傷が生まれる
額だけでなく、顔全体、更にローブへと……
その猛烈な風の刃に目を細めさせられると、次は岩が風に乗り襲う
第三手・流星岩だ
それをギリギリ目視出来たクルスは、爪で粉々にする
目の前に院長先生の敵(かたき)、アイズ・ラザヴォードがいるのに近付けない
そのストレスが溜まりに溜まり、結果、岩にぶつけている
さっきからこれの繰り返し
クルスの表情には疲れが伺え、肩で息をしている
氣の消費量が著(いちじる)しい第三形態・眼
意味の無い突進
溜まり続けるストレス
クルスは限界だ
策など無い
それでも、クルスは突っ込んだ
しかし、この無限のリピートは唐突に終わりを迎える事となる
「もう終わりにしよう。クルス」
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