再会

11/22
前へ
/189ページ
次へ
吹き溢れる風の刃がまたクルスに立ちはだかる 誰もがそう思っていたが、今回は違った 悪魔の翼がクルスを空へと導き、風の刃を回避した 本来なら初歩的な対応なのだが、今まで頭を使わなかった男が使った事に皆、大なり小なり驚いている 「舐めんな」 クルスは右腕を大砲に変形させると、大きな声をあげながら黒いエネルギー弾を連射した それを見据えたアイズも応戦するように薄い膜を張る 最初は薄い膜がエネルギー弾を弾いていたが、徐々に無数に発射され続ける弾に押され、罅(ひび)が入る アイズの判断は間違っていた事になるだろう 理由は自ら作った膜のせいで逃げ場を失ったからだ そのままエネルギー弾が追加され続けると、遂に膜は破れ、一気にアイズに襲いかかる 最早、対処出来る距離では無い チッ。と舌打ちしたアイズは両腕を交差させ、頭のガードに使い、目を瞑(つぶ)る この動作はアイズの意図で行われた事ではない 身の危険を感じた際に起こる、所謂(いわゆる)動物的本能というやつだ その本能により頭に当たる事は防げたが、対処に間に合わなかった部分に何発ものエネルギー弾を受け、衝撃で後方に吹き飛ぶ が、エネルギー弾の雨は止まない 「もらったぁ!」 絶好の好機と判断し、連射を続けながら左手の爪の射程範囲までクルスは翼を羽ばたかせる 荒野に当たったエネルギー弾は砂を舞わせ、砂はもくもくと拡がり、まるで砂のドームの様に舞い、アイズの視界を覆い尽くす 視界零(ゼロ)の中、エネルギー弾を受けながらアイズは体勢を立て直そうとすれが、次々とぶつかるエネルギー弾のせいで体勢を維持出来ない 物理的なエネルギー弾とは裏腹に、もどかしい衝動が精神を襲う
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

307人が本棚に入れています
本棚に追加