魂を売った男

3/17

307人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
クルスの後方からビルの屋上を飛び移りながら迫ってくる人影は、クルスのいる一番高いビルの元へたどり着き、立ち止まった。 「お待たせしました。隊長」 「遅かったなユウリ。任務に手こずったのか?」 「いえ、少し遠くで任務があったので」 ユウリと呼ばれた女性は多少女性用にデザインが変更されているが、黒い制服のローブを着ている。 「そうか。直ぐ行けるか?」 普通なら、かつてのクルスなら労いの一声ぐらいかける筈だが、そんな様相は感じられない。 寧(むし)ろ他人に興味が無い感じだ。 「構いません。それより……」 一方ユウリもその気遣いの無さに一喜一憂するわけでも無く、先程と同じく淡々とした会話を続けていると、一息ついてから続ける。 「ホントにここに天授十器があるのでしょうか? 情報によるとただの小物のようですが……」 「……多分ガセネタだろうな。それよりさっさと行くぞ」 「……分かりました」 ビルの屋上を飛び移る二人の姿はその場を後にした。
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

307人が本棚に入れています
本棚に追加