派閥最強の男

10/20
前へ
/189ページ
次へ
場面は変わりここは空 相変わらず雲一つような美しい青空に青龍に跨がったアイズとポルトがいる 上には相変わらず雲一つ無い青空の中を陽光が照らし、下には雄大な荒野のみが広がっていた 「あの技見せちゃって良かったんすか?アイズさん。折角、抜けた後に出来た技なのに対策立てられますよ。」 「しょうがないさ。ベレンさんから逃げるにはあれしか思い付かなかった」 「にしても厄介な力っすね。風を操る天授十器・天三矛(あまのみつほこ)って」 「……そうだな」 お互い視線を前に向けたまま、会話を交わしていたが、二人とも首だけを後方に向けると、視線の先には地から立ち上る巨大な台風の姿があった 大分離れているため、吹き溢れる暴風は届かないが、それは二人、特に初見のポルト頭に天三矛の威力を植え付けるには十分過ぎる物だった ここが荒野だからまだ良かったが、人々が多く住む住宅街だったらと考えると、とんでもない事になる 「何(いず)れはアイズさんが倒すんでしょ?……てか、混沌の薙刀奪うの忘れちゃいましたね」 「混沌の薙刀に関しては俺のミスだ。ベレンさんだけでなくラプラさんまでいたせいで逃げるのを最優先させてしまった。ラプラさんの力だったらヴィラさんやルーナも直ぐに復帰する。 そうしたら、負けるのは間違いなくこっちだった。 後、俺の計画通りにいけば、ベレンさんと戦うのは俺じゃない」 「誰っすか?」 一息付くと、広角を少し上げながらフッと笑い、続けた 「――――――――」 「……へぇ、それは知らなかった」 アイズの小さな声は突然の一風にかき消されたがポルトの耳には届いたようだ そして、彼らは空の彼方に消えていった
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

307人が本棚に入れています
本棚に追加