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~時は流れ数時間後~
飛行機のリビングルーム、それぞれの個室の短い針はいつの間にか4の数字を指していた
幾分か太陽も高度が下がっており、飛行機の速度も減速し始めている
そして、それに呼応し、向かい入れるかのように目の前の大地は割け、飛行機は中に入っていった
無事着陸した飛行機から搭乗者が次々と降りて行くと、その中の一人に、一人で歩くクルスの姿があった
最悪回復に数ヶ月を要する零氣現象だが、彼は数時間で回復したようだ
勿論、任務などまだ出来るわけではない絶対安静状態なのだが……
中には階段があり、彼らは順次上がって行くと、視界にバカでかくて荘厳な建物が聳(そび)え立っていた
黒を基調とした建物の名は黒の派閥本部
彼らの居る場所からは視界に収まりきらないそれは、見る者に息をさせるのを忘れさせる程に圧倒的な存在感を放っている
規模が余りにも違いすぎる為当たり前だが、その存在感は青龍の比ではない
一行は誰一人会話を交わす気も無く、足音だけが木霊(こだま)するように響くと、その先には重厚な両開きの門が招き入れるかのように開いている
各々が門を通過すると、老若男女様々な人からなる2つの列で道が出来ており、皆右手を左胸に当て「お帰りなさいませ」とはち切れんばかりの大声を発し、ただっ広い部屋に響くが、誰も驚かず凛とした態度で堂々と闊歩する
「ありがとう」と微笑むヴィラと物怖じするルーナを除いて……
人の道の先には、一人のベージュの髪を七三に分け、眼鏡を掛けた少し皺(しわ)のある男が他の者達と同じように右手を左胸にあて、紳士的な態度で佇(たたず)んでいた
黒い長袖から覗くのはⅠが刻印された赤い腕輪
名前はアレゴレ。
「お帰りなさいませ。ベレン隊長。他の隊長、副隊長方もお待ちしておりました。元老帥がお待ちです」
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