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アレゴレの後ろ、建物の中央には建物に似合う巨大なエレベーターがあり、アレゴレはエレベーターガールの様に彼らを招き入れ、最後に乗り込む
行き先は最上階
派閥のトップ、四人の元老帥が待つ部屋だ
最上階に着くとお決まりのチンッという合図が鳴り、巨大な扉が開く
扉の先には赤い絨毯(じゅうたん)が敷かれ細長い道が続いている
壁には等間隔に小さな照明が設置されており、その果てには重厚そうな扉が一つ
一向は真っ直ぐそれに向かう
静かに漂う緊張感
絨毯のせいで足音すら響かぬ無音の空間
そこは一階とは同じ建物とは思えない聖域
そしてベレンが扉を開けた
扉の先は一階同様タイル張りとなっており、中央には部屋に見合った大きなクロスのひかれた円卓があり、その上に見るからに高そうな花瓶やティーカップが置かれている
通称元老帥の間
四人の男性老人がその円卓を囲むように、これまた豪華なソファーに座り、目を瞑る者、紅茶を飲む者、皆が一様に彼らを待ち構えていた
皆が皆、天授十器とは違った独特なオーラを放っている
クルス達は皆、そのオーラに潰されるようにベレンを中央に横一列に並び、方膝を着くと、一番右のサイド以外は頭皮が丸見えの男がこの重たい空気を壊した
「任務は失敗したようだなベレンよ。お前がいながら……」
「……申し訳ありません」
「そう言うなマールよ。アイズは特別な子じゃった。万能な能力に加え、何事にも動じぬ冷静さ、強靭な精神力、そしてあの剣に選ばれた。十代前半の者には有り得ぬ程完璧な存在じゃった。将来はこの座にたどり着く存在じゃったのに。」
次にベレンを庇い、アイズの脱退を嘆くように言葉を発したのは左から二番目の、ティーカップを飲んでいた白髪一色の長髪を腰の辺りで結んだ男
鼻の下や顎にはご立派な髭が生えている
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