派閥最強の男

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扉の先はエレベーターを中心に円形状になっており、一階や最上階同様、薄明るい蛍光灯が辺りを照らしている 円形の側面には等間隔で部屋が設置されており、扉の横には指紋と網膜認識タイプの鍵がある ルーナを除く一行は各自任務の疲れを癒すために自分の部屋に行ったが、ルーナだけはエレベーターに戻り別の階を目指した 階は変わりここは書庫 少し埃をかぶった木造の本棚が辺り一面にあり、それが道を作っている そこのとある棚に本を開いては閉じて戻すを繰り返すルーナの姿があった 小柄な彼女には一番上の棚は高いらしく、爪先立ちで次の少し古ぼけた分厚い本を取り出した 「あった。どこかで聞いた名前だと思ったらやっぱり……」 漸く目標の本を見付けたのか、ルーナはため息と共に独り言を漏らす 表紙には『鬼神・ポルトに関する諸々の情報』と書かれており、そのままページを一枚捲(めく)った 最初に目に飛び付いたのはサブタイトルの『アルヴィネス王国を恐怖のどん底に陥れた最悪の犯罪者、ポルトについて』という下に羅列された文字よりも少し太字で書かれた文字だ そして下の無数にある文字に視線を落とすと50年前の暦が書かれた後、彼の特徴、犯罪経歴などが書かれていた
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