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「……ここか」
暫く時間が経つと、クルス達の眼前にはレンガ造りの豪邸が建っていた。
静かな暗闇に力を添えられているのか、何処か不気味な雰囲気が漂よっている。
「ユウリ。俺は正面から扉をぶち破って入る。俺が囮になるからお前は裏口から静かに探させろ」
体は建物に向けたまま視線だけをユウリに向けて言うクルス。
「はい」
二文字の言葉のみを発し、クルスの後ろからユウリの姿は一瞬で消えた。
少しの間、藍色の瞳には建物を睨み付けているとまた通信が入った。
『お待たせしました。裏口に到着しました』
「一発で分かる合図をだす。合図がしたら作戦決行だ」
『了解です』
通信を終えたクルスは目の前の柵から少し離れると片腕を柵に、奥の木造の両扉にかざす。
――先ずは目の前の扉を破壊しなくてはならない。
そうしなければ、囮もクソもない。
あるかどうかも分からない天授十器も探しようもない。
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