未完のパズル

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「いらっしゃいませぇ。見てらっしゃい」 「ほらほらお客さんたらば蟹だよ」 「ありがとうございました!」 耳をつんざくような大声が聴覚を刺激し、星の様に無限と感じる人の数が視覚に映り、嗅ぐだけで腹一杯になるような多種多様な食物の臭いがデセアドの嗅覚を奪う 活気ある市場を見て広角を自然とあげる少年は、見たことの無い食物に視線をキョロキョロさせながら人の波を掻き分けていこうとするが、逆にそれに飲まれる 押しに押され行き着いた先は1つの焼き鳥屋 焼き上がった鳥に、仄かに香るレモンがデセアドの食欲をそそる すると、ぐるぐるになった白いタオルを鉢巻きにしている壮年の店員が、張りのある声を掛けてきた 「へい兄ちゃん、一本どうだい?」 「あ……でも、僕お金無いんで」 デセアドは申し訳なさそうに遠慮すると、店員はニカッと笑い出来立ての焼き鳥を一本差し出してきた 「そっか。ほらよ、一本サービスだぜ」 「え……でも……」 「いいから気にすんなって」 「あ、ありがとうございます」 器の大きさを感じるおっちゃんの好意を、素直に受け取った少年は熱々の焼き鳥を一口頬張りながら辺りを見回すと、老若男女問わず1つの共通点を発見する ――皆、楽しそうに笑ってる。
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