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アルヴィネス王国とディエス王国はまるで白と黒、光と闇のように相反した存在だ
――ここは居心地が良い。
確かな温もりを感じた少年は、王族のいると思われる城を目指して暫く足を動かしている
不意に空を見上げれば紅い太陽が沈みかけていた
――今日は野宿だな。城へ行くのは明日にしよう。
人生初の野宿を覚悟したデセアドは細部まで書き込まれた看板型の地図で公園の在り処を見つけ出し、進路を変更する
たどり着いた公園は大きな噴水を中心に緑の沢山植えてある所だった
柔らかな風が吹き、静かに揺れる葉の音がなんとも小気味よい
そこを見渡すとブランコや滑り台、アスレチックやベンチなどお決まりの物が設置されており、少年は木造の長方形のベンチに腰かけた
目前には汗を流し、サッカーに惚ける子供達の姿。
「シュート!」
子供の一人が豪快にボールを蹴ると、網の無いゴール代わりの長方形にボールは吸い込まれた
「よっしゃぁ!!」
見事ゴールを決めた少年はまるで天にかざすようにガッツポーズを決め満面の笑みをこぼすと、敵チームの少年はボールを手に持ちコートの中心に向かって走り出す
他の者達も取り返してやろうと目に見える程意気込んでいると外から複数人の声が聞こえてきた
「皆、ご飯よ~。サッカーはそこまで」
どうやら彼らの母親のようだ
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