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「よっしゃ。俺たちの勝ち。ヘヘッ」
「ええ~。後、五分」
唐突のタイムアップに賛否両論の声が飛び交うと母親の一人が批判の声を制す
「駄目。散々遊んだでしょ」
一蹴された子供達はぐぅたれながらも渋々了解し、重い足を進めるながら友達に「また明日な」と別れを告げた
「……俺にはあんな友達いなかったな」
誰もいなくなった空間でデセアドは小さな独り言を呟く
一人っ子故に両親からの愛情の無い鞭は一層厳しかった
幼い頃から世界史、哲学、帝王学など将来王位を継ぐために毎日が勉強
しかしそれは先日までの話
閉じ込められた鳥は己の嘴(くちばし)を使い、籠を開け、そして大空を手に入れたのだ
少年は悲哀に満ちた表情をやめ、希望に満ち溢れた目でそれを見上げた
黄金色の空は短い役目を終え、月や星が煌(きら)めく美しいそれが始まろうとしている
そしてデセアドはホームレス生活を送るには、余りにも豪華過ぎる格好で、早めに目を閉じた
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