未完のパズル

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デセアド……いや、デセスは言われるがままに二人の指示に開店準備をし、そして仕事をした。 最初は戸惑うばかりであったが、幼い頃から様々な分野を暗記するまで勉強させられたデセスは直ぐ様覚え、見事に貢献する。 忙しかったにも関わらず、この順応性の速さには流石の二人も驚きを隠せずにいた。 そして知らず知らずのうちに時は流れて夕刻、つまり閉店を時刻に……。 「凄かったよデセス君。最初からあんなに動ける人なんてそういないよ」 「そうだぞデセス。まさかこんなに使えるとは嬉しい誤算だったぜ」 感嘆の声を受け取りながら暖簾(のれん)を仕舞ったデセスは二人と共に先程の部屋に戻った。 おっちゃん達の家は二階建てで、一階が焼き鳥屋となっており、先程の畳の部屋であるリビングは引き戸一つで仕切られている為、゛戻った゛と言う程でも無いが……。 小さなテーブルを囲む様に座布団の上に座った三人に、学校から帰宅したフリアンが労いの言葉を掛けながら鍋を持ってくる。 因みにフリアンが通学しているのはデセアドが断られた魔法学校であり、現在フリアンはそこの二期生である。 嬉しい事にここはタダで賄(まかな)いを食べられる制度になっている。 そしてもう一つ嬉しい事が……。 それはここに住ませてもらえる事。 フリアンからデセアドの状況を聞き入れたおっちゃんの粋な計らいであった。 流石にそこまで優遇されるとデセアドも申し訳なさで胸一杯になるため、給料の幾らかを渡すと言っていたがその案も一蹴されてしまった。
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