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場面は変わりここは二人が初めて出会った公園。
数多の星と三日月、そして幾らかの街灯がコンクリートを、止めどなく吹き出す噴水を照らしていた。
そこにはデセアドとフリアンの姿が……。
「見ててね」
「我が視界を遮る物全てを吹き飛ばせ。゛氣弾゛」
右手を星に翳(かざ)したフリアンは手から黄色いエネルギー弾を発射する。
首を上げ、目を見張るデセアドは天に昇り、次第に小さくなったエネルギー弾がブラックホールの様な常闇に消えていくのを確かに見た。
フリアンに聞こえそうなくらい鼓動が大きくなるのを感じる。
長年、望み続けた魔法を漸く学べるとなるとデセアドのテンションは急上昇し、それは表情に表れた。
「凄い!凄いよフリアン」
「ありがとうございます。これが魔法の基本゛氣弾゛です。詠唱は言った通りです。やってみて下さい」
「うん。」
まるで子供の様にはしゃぐデセアドは見よう見まねで手を翳し、詠唱を始める。
「我が視界を遮る物全てを吹き飛ばせ゛氣弾゛」
次に驚いたのはフリアンだった。
たった一度教えただけで手からは黄色いエネルギー弾が発せられ、同じ様に夜に吸い込まれたのだ。
「……たった一回で出来ちゃうなんて……」
その表情のままデセスを見てみると彼はまた子供の様にはしゃいでいた。
――いくら基本魔法と言っても普通2~3週間はかかるのに……。
……デセスさん。
あなたは一体何者なの?
何で過去を喋ってくれないの?
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